愛知県内の大手中古車販売会社様にて、スキャンツールを用いた技術勉強会を開催いたしました。同社では既に全ての拠点でTCJの診断機を導入いただいており、今回はその活用を一層深めるべく、各拠点からスタッフの皆様にお集まりいただき、実践的な講習を行いました。
本講習では、「実際の故障コードの検出」「診断の分岐判断」「誤診のリスク」をリアルに体感できる環境を整えました。参加者は単なる操作習得にとどまらず、「診断とは何を読み取り、どう判断するか」という実務思考を養う場となりました。
「リモサポ!」による遠隔技術支援の体感
また、今回の勉強会では、技術支援の一環として「リモサポ!(TCJが提供する遠隔サポート)」を活用して助言させていただく場面もありました。物理的に距離がある拠点のスタッフの方々に対してリアルタイムで技術の助言を行うことで、「現場にいるような安心感」と「導入支援の雰囲気」を遠隔で体感していただくことができました。
勉強会の内容
教材車両のバッテリーが著しく劣化していたため、講師が参加者に安定化電源装置の接続を依頼したところ、「バッテリー充電器か、並列ジャンプしかない」との回答が返ってきました。ただ、どちらの方法も診断中の安定した電力供給という観点では、理想的とは言えません。講師はその場で「これは応急処置です」と断ったうえでエンジンを始動し、オルタネーター(車載発電機)による電圧安定を図りながら診断を進めました。
2010年代以降の車両には「充電抑制装置」が標準装備されています。エンジンが始動するとオルタネーターが発電し、整流器(レクチファイア)・調整器(レギュレータ)を経て約14Vの安定した電力が供給されます。ここで知っておきたいのが、バッテリーのマイナス側に取り付けられた充電抑制装置の働きです。
この装置は電流を常時監視し、オルタネーターの発電量を自動で調整する役割を担っています。その結果、診断中に必要な「安定した14V」が保てなくなるケースが生じるのです。これを防ぐために、外部安定化電源装置(プログラムチャージャー)の接続が必要となります。
バッテリーテストクリップを用いた診断実演
車両診断を行う前にバッテリー自体の状態を事前に把握することはとても重要です。上記を踏まえ、専用製品バッテリーテストクリップを使い、始動用バッテリーの診断を行ってみます。
THINKCAR製スキャンツールにはバッテリーテストアプリケーションを内蔵しています。オプションのBluetooth接続にて稼働するTBTC-2(バッテリーテストクリップ)を用いて診断を行います。アプリはJIS, DIN, CCA, EN, IEC, SAE, BCI他と全球規格に対応、さらに、鉛ノーマル、AGM, GEL等電池素材ごと分類も行いバッテリーの現状を充電量、健康度合いまで判定いたします。
- SOC(State of Charge=現在の充電残量)
- SOH(State of Health=バッテリーの健全性・劣化度)
数値による可視化と診断の出発点
上記は診断の類例ですが、充電テストの結果、アイドル電圧が14.76Vと基準を上回り「電圧が高い」という警告が表示されました。バッテリーや充電系統の状態が、数値として可視化されるのです。
現代の車両では、発電機も蓄電池も電子制御と一体で機能しています。「なんか弱い気がする」「上がってしまった」という感覚だけでは通用しません。整備士がバッテリーの状態を数値で正確に把握することが、正しい診断の出発点となります。
まとめ:診断精度向上と誤診防止のために
今回の講習でTCJが最も伝えたかったことは次の2点です。
- スキャンツールによる診断を始める前に、まずバッテリーを診断すること。
- バッテリーがフレッシュな状態であっても、外部安定化電源装置を必ず接続して診断すること。
この2点を現場の習慣にすることが、診断精度の向上と誤診防止につながります。
TCJは、診断データ・AI・リモート支援を融合させた包括的なソリューションを通じて、整備現場の高度化と自動車整備業界の技術進化に貢献してまいります。
